モデリング カタログは、ナレッジ ベースのメタデータ リポジトリです。モデリング カタログ オブジェクトは CA Spectrum に付属し、比較的静的ですが、カタログにはチューニングできる部分があります。また、新しいネットワーク技術または新しいタイプの管理対象ネットワーク エレメントを CA Spectrum が認識するように、モデリング カタログをカスタマイズすることもできます。以下のセクションでは、モデリング カタログに含まれている特定のタイプのさまざまなオブジェクトについて説明します。

モデル タイプは主として管理対象エレメント ファミリに対応し、モデルの構築に使用されるテンプレートです。モデル タイプには、特定のタイプの管理対象エレメントを管理するのに必要な情報（すなわち属性）が含まれます。モデル タイプは、モデル タイプによって表される管理対象エレメントがどのように動作するかを CA Spectrum に伝えるインテリジェンスを所有しています。また、このインテリジェンスでは、管理対象エレメントまたはネットワークの別の場所で発生したイベントに管理対象エレメントが対応する方法も記述されています。

たとえば、CA Spectrum モデリング カタログには NokiaFW モデル タイプが含まれます。このモデル タイプは、IP330、IP440、IP650、IP740 などの特定のタイプの Nokia ファイアウォールを表します。CA Spectrum はそれを使用して、ネットワーク内の特定の Nokia ファイアウォールを表すモデルを作成します。

各モデル タイプは、通常は 16 進数形式で表される

モデル タイプ ハンドル

番号を使用して、モデリング カタログ内で一意に識別されます。

各モデル タイプには、モデル タイプが表す管理対象エレメントの特性とプロパティを定義する属性があります。これらの属性には、内部属性と外部属性があります。内部属性は、特定のエレメントの CA Spectrum 管理に固有の情報を反映します。外部属性は、管理対象エレメントがサポートする MIB からのオブジェクトを反映します。属性はすべて、モデル タイプと関連付けられているデフォルト値を持ちます。

多くの場合、特定のモデル タイプのモデルがインスタンス化されるときに、属性に新しい値が設定されます。属性値は、モデルが表す管理対象エレメントに固有です。ただし、一部の属性は共有属性です。指定されたモデル タイプのモデルはすべて、同じ共有属性およびそれらの値にアクセスします。これらの属性と値は、メモリまたは各モデルのデータベースでは複製されません。

各属性は、通常は 16 進形式で表される

属性 ID

 と呼ばれる値を使用して、ナレッジ ベース内で一意に識別されます。多くの属性は、さまざまなモデル タイプ全体で使用されます。たとえば、モデリング カタログ内のほとんどすべてのモデル タイプでは、Modeltype_name 属性または IPAddress 属性が使用されます。これらの属性の属性 ID はすべてのモデル タイプ間で同じままです。属性のこの正規化は、モデル タイプ継承を使用して実現されます。

関係は、モデル タイプが互いに関連し合うための潜在的な方法を定義します。関係は、CA Spectrum ナレッジ ベースで定義されています。関係には、Contains、Manages、Connects_to などがあります。各関係には、それを識別する、通常は 16 進形式で表される固有の番号があります。この識別子は、

関係ハンドル

と呼ばれます。

メタルールは、関係が使用されるコンテキストを定義することにより、関係に意味を付与します。メタルールは、関係に参加できるモデル タイプを示します。メタルールの概念を理解するには、モデル タイプと関係をそれぞれ名詞と動詞として考えます。名詞と動詞句の組み合わせによって、文を形成します。文が意味を持つには、以下の 3 つの条件を満たす必要があります。

CA Spectrum のメタルールの概念では、2 番目の条件が適用されます。メタルールは、動詞がリンクできる名詞を制限するために動詞に対して定義できます。動詞に対して適用される制限が論理的であるように、慎重にメタルールを定義する必要があります。通常、各動詞は複数のメタルールによって管理されます。

ネットワークを構成するオブジェクトのモデル タイプと関係として以下の名詞と動詞が定義される言語について考えてみます。さらに、名詞と動詞を組み合わせた使用方法にロジックを適用するメタルールが定義されているものと仮定します。メタルールは関係に対して定義され、左側のモデル タイプと右側のモデル タイプの 2 つのモデル タイプで構成されます。メタルールのこの左右の順序は、論理文を構築するための形式です。左のモデル タイプは主語、関係は動詞、右側のモデル タイプは文の目的語です。

この言語で論理的なステートメントを作成するには、最初の 2 つの条件が満たされる必要があります。次の例は最初と 2 番目の要件を満たし、コンピューティング インフラストラクチャの現実的な表現です。

次の文は名詞/動詞/名詞の形式を使用していないため無効であり、最初の基準を満たしていません。

以下の文は形式要件を満たすが、非論理的であるか、または定義されたメタルールに従っていません。

関係は、1 対多または多対多のいずれかの基数を持つと定義されます。たとえば、Contains 関係には 1 対多のカージナリティがあります。メタルールは、Contains 関係が Room モデル タイプと Workstation モデル タイプの間に存在できるように定義されています。Contains は 1 対多の関係なので、1 つの部屋は複数のワークステーションを含むことができますが、1 つのワークステーションは 1 つの部屋にのみ存在できます。

多対多の関係の例としては、Connects_to 関係が挙げられます。メタルールは、Connects_to 関係がスイッチ モデル タイプとルータ モデル タイプの間に存在できるように定義されています。1 つのスイッチは多くの異なるものに接続されており、そのうちの 1 つがルータです。同様に、ルータはスイッチなどの多くのものに接続されます。

関係のカーディナリティにより、実際のコンピューティング インフラストラクチャを正確に表すように、CA Spectrum のモデルを論理的にリンク、関連付け、結合することができます。

モデル タイプは階層的に作成されます。一般的なモデル タイプが最初に作成され、固有のモデル タイプは一般的なタイプから派生されます。モデル タイプは継承のプリンシパルを使用して派生します。複数のベース モデル タイプからモデル タイプを派生させるには、複数の継承が使用されます。

派生モデル タイプは、派生元の単数または複数のモデル タイプの属性とインテリジェンスの両方を継承します。また、派生モデル タイプは、ベース モデル タイプと同じメタルールに参加します。さらに、派生モデル タイプは、ベース モデル タイプが使用するのと同じ推論ハンドラを使用します。

複数のベース モデル タイプから派生するモデル タイプは、特定の順序を使用して、ベース モデル タイプから属性および推論ハンドラを継承します。その結果、派生モデル タイプは属性または推論ハンドラを複数回継承することはできません。継承により、属性の初期値も決まります。新しい属性（内部と外部の両方）および新しい推論ハンドラを、派生モデル タイプに追加することができます。派生モデル タイプは、そのベースより具体的なタイプです。