ポート障害相関関係
内容
casp1032jp
内容
CA Spectrum
では、障害分離アルゴリズムをカスタマイズすることによって、ネットワーク障害の根本原因をポート レベルまで解決できます。この方法が最も役に立つのは、フレーム リレー インターフェースのように、単一物理ポートでリモート デバイスへの複数の論理接続をサポートする場合です。物理ポートがダウンした場合、CA Spectrum
は、下流デバイスで生成されるアラームをすべて抑制し、問題の物理インターフェースで生成されるレッド アラーム 1 つのみを残すことによって、注意する必要があるアラームの数を大幅に減らします。物理インターフェースのレッド アラームの影響重要度と影響度範囲には、物理インターフェースのほかに、すべての下流デバイスが含まれます。ポート障害相関関係の選択肢
VNM モデルの[障害分離]サブビューの[ポート障害相関関係]設定を使用して、ポート障害相関関係を設定します。
- 無効ポート障害相関関係を無効にします。ネットワーク障害の根本原因は、デバイス モデルのレッド アラームとして残ります。ただし、障害分離処理でデバイスの接続ポートがすべて保守モードになっているかどうかの調査は行われます。接続ポートがすべて保守モードになっている場合、デバイス モデルのアラームは抑制されます。
- [すべての接続ポート]ポート障害相関関係を解析し、ダウン デバイスに接続されている「稼働中」のネイバーに存在するすべてのポートについて、障害の根本原因である可能性を調査します。ほかに手動で設定する必要はありません。
- [管理ネイバーのみ]ポート障害相関関係を解析し、事前に管理ネイバーとして手動で設定されているポートに限定して、障害の根本原因である可能性を調査します。
- [すべての接続ポート - 複数デバイスのみ]ポート障害相関関係を解析し、ダウン デバイスに接続されている「稼働中」のネイバーに存在するすべてのポートについて、障害の根本原因である可能性を調査します。ただし、CA Spectrumは、ポート アラームと相関関係があると考えられるレッド アラームが複数のデバイス モデルで生成される場合にのみ、ポート レベルで障害を解決します。ポート アラームと相関関係があると考えられるデバイス アラームが 1 つの接続されたデバイスでのみ生成される場合、CA Spectrumでデバイス アラームは抑制されません。その場合はポート アラームとデバイス アラームの両方が生成されます。
ポート障害相関関係の条件
障害の根本原因をポート レベルで解決するには、以下の条件が満たされる必要があります。
- ダウン デバイスの「稼働中」のネイバーは 1 つのみであること。ダウン デバイスに複数の「稼働中」のネイバーが存在する場合、ポート障害相関関係の解析は行われません。ポート障害相関関係の解析は、単一の問題で生成されるアラームの数を減らすために行われます。もし複数の稼働中のネイバーが条件として有効だとすると、接続されているポートがすべてダウンしている場合に、同一の影響重要度と影響度範囲のレッド アラームが複数存在することになります。デバイスに稼働中のネイバーが複数存在する場合、CA Spectrumは上流ポートではなくそのデバイスに問題があると判断し、そのデバイスでレッド アラームを 1 つ生成します。
- ダウン デバイスが「稼働中」のネイバーの少なくとも 1 つのポート(または管理ネイバーのポート)と接続され、そのポートが現在ダウンしていること。
- 「稼働中」のネイバーの複数のポートがダウン デバイスに接続されている場合(リンク集約など)、それらのポートがすべてダウンしていること。
- ポートは、ポートが稼働停止している場合またはポート モデルが保守モードである場合に、「ダウンしている」とみなされます。
- ダウンしているポートの少なくとも 1 つにアラームが存在すること。アラームが 1 つも存在しない場合、CA Spectrumは障害を解決できません。
- [ポート障害相関関係]に[管理ネイバーのみ]が設定されている場合、障害が発生する前にダウン デバイスの管理ネイバーが設定されていること。
ポート障害相関関係の警告
[ポート障害相関関係]は、[ライブ パイプ]サブビューの[リンクされたポートのアラームを抑制]設定よりも優先されます。[リンクされたポートのアラームを抑制]に「はい」が設定されている場合、到達不可デバイスに接続されている上流ポートのアラームは抑制されます。[ポート障害相関関係]が有効に設定され、上流ポートが障害の根本原因である場合、
CA Spectrum
は強制的に上流ポートでアラームを生成させます。根本原因アラームの影響重要度と影響度範囲を算出する際は、アラーム ポートの重大度のみが使用されます。サブインターフェース(DLCI ポートなど)の重大度は一切考慮されません。
[ポート障害相関関係]は、デバイス モデルでのみサポートされます。FanOut モデルやモデリングされていない場合は、この機能はサポートされません。WA_Link モデルには、ポート障害相関関係をサポートするリンク障害処置という独自のメカニズムがあります。リンク障害処置については、「ワイド エリア リンクの監視」を参照してください。
「稼働中」のネイバーの複数のポートがダウン デバイスに接続され(リンク集約など)、それらのポートがすべてダウンしている場合、障害の根本原因として複数のレッド アラームが存在します。各レッド アラームの影響重要度と影響度範囲は同じです。この場合は、それらのポートのどれか 1 つのみではなく、すべてのポートが障害の根本原因です。
例: ポート障害相関関係シナリオ 1

上の図では、
CA Spectrum
はルータ 1 からルータ N に到達するためにルータ A 経由で通信する必要があり、それが CA Spectrum
がルータ 1 からルータ N に到達するための唯一の方法であると仮定しています。各リモート ルータは、フレーム リレー リンクを使用して、ルータ 1 に接続します。CA Spectrum
では、各 DLCI ポート モデルを他のデバイスに接続することによって、この関係がモデリングされます。このシナリオで、物理フレーム リレー インターフェース(FR A)がダウンした場合、そのインターフェースに関係するすべての仮想回路も同様にダウンします。ポート障害相関関係が無効の場合、アラームは以下に示すように生成されます。
障害シナリオ 1: ポート障害相関関係を解析しない場合のアラーム

FR Aのダウンによるトラップを受信した場合(またはライブ パイプがオンになるように設定されている場合)、物理フレーム リレー インターフェースでレッド アラームが生成されます。さらに、そのフレーム リレー インターフェースに接続されているすべてのルータでもレッド アラームが生成されます。この場合、1 つの問題で複数のレッド アラームが
CA Spectrum
によって生成される可能性があることになります。ポート障害相関関係を解析することによって、事前に手動で設定しなくても、この問題で生成されるアラーム数は 1 つに減ります。ポート障害相関関係が有効な場合の結果を以下の図に示します。
障害シナリオ 1: ポート障害相関関係を解析した場合のアラーム

[アラーム]タブに「無効なリンク」のレッド アラームが 1 つ表示されます。このアラームの影響度範囲と影響重要度には、FR A、ルータ 1 から N、およびルータ 1 から N の下流にあるすべての到達不可デバイスの各モデルが含まれます。
例: ポート障害相関関係シナリオ 2
この障害シナリオでは、「障害通知を最適化するための推奨されるポート障害設定」で推奨される設定に従ってリンクされたポートのアラームを抑制属性とポート障害相関関係属性を設定することの利点を説明します。
以下の図では、VNM はルータ C、D、E に到達するためにルータ A と B を経由して通信する必要があり、それが VNM がそれらのルータに到達するための唯一の方法であると仮定しています。
CA Spectrum
では、ポートレベルの接続は図で示すようにモデリングされます。障害シナリオ 2: 「稼働中」のネイバーが複数存在

このシナリオでは、ルータ C がダウンすると、
CA Spectrum
とルータ C、D、E との接続が切断され、それに合わせてポート A と B もダウンします。[リンクされたポートのアラームを抑制]属性に「はい」が設定され、ポート障害相関関係属性にすべての接続ポートが設定されている場合、以下の図に示すように、ルータ C でレッド アラームが 1 つ生成されるのみです。障害シナリオ 2: 「稼働中」のネイバーが複数存在

上流ポート(ポート A と B)のアラームは、[リンクされたポートのアラームを抑制]属性に「はい」が設定されているので抑制されます。ポート障害相関関係が有効であっても、ルータ C には複数の「稼働中」のネイバーが存在するので、ポート レベルでの障害解決は行われません。この状況が発生した場合、
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は、障害はデバイス自身で発生しており、接続ポートの障害ではないと判断します。[リンクされたポートのアラームを抑制]属性に「いいえ」が設定され、ポート障害相関関係属性にすべての接続ポートが設定されている場合、以下の図に示すように、ルータ C とその上流ポートでアラームが生成されます(ポートのステータスがポーリングされた場合または
CA Spectrum
がリンク ダウン トラップを受信した場合)。障害シナリオ 2: 「稼働中」のネイバーが複数存在

この場合も、ルータ C に複数の「稼働中」のネイバーが存在するので、ポート レベルでの障害解決は行われません。[リンクされたポートのアラームを抑制]が無効なので、
CA Spectrum
は上流ポートでアラームを生成します。以下の図に示すように、ルータ C に「稼働中」のネイバーが 1 つしか存在しない場合、[リンクされたポートのアラームを抑制]属性に「はい」が設定されていても(ポート障害相関関係属性にはこれまで同様すべての接続ポートが設定されているものとする)、
CA Spectrum
はポート レベルで障害を解決します。ポート障害相関関係によって上流ポートでアラームが生成され、ルータ C のアラームは抑制されます。障害シナリオ 2: 「稼働中」のネイバーが 1 つ存在

例: ポート障害相関関係シナリオ 3
この障害シナリオでは、ポート障害相関関係に[すべての接続ポート - 複数デバイスのみ]が設定されている場合に発生する状況について説明します。ここでは、
CA Spectrum
はルータ 1 からルータ N に到達するためにルータ A 経由で通信する必要があり、それが CA Spectrum
がルータ 1 からルータ N に到達するための唯一の方法であると仮定しています。各リモート ルータは、フレーム リレー リンクを使用して、ルータ 1 に接続します。以下に示すように、各 DLCI ポート モデルを他のデバイスに接続することによって、この関係がモデリングされます。
物理フレーム リレー インターフェース(FR A)がダウンしたと仮定します。これは、このインターフェースに関連付けられているすべての仮想回路も同様にダウンすることを意味します。ポート障害相関関係が無効の場合、アラームは以下の図に示すように生成されます。
障害シナリオ 3: ポート障害相関関係を解析しない場合のアラーム

ポート障害相関関係に[すべての接続ポート - 複数デバイスのみ]が設定されている場合、複数のデバイスがフレーム リレー インターフェースと相関関係にあるので、以下の図に示すようにアラームが生成されます。
障害シナリオ 3: ポート障害相関関係に[すべての接続ポート - 複数デバイスのみ]が設定されている場合

ポート障害相関関係に[すべての接続ポート - 複数デバイスのみ]が設定されている場合、ダウン リンクによって切断されたルータが 1 つのみであれば、リモート ルータのアラームは抑制されません。

ポート障害相関関係の例外
ポート モデルを障害の根本原因とするレッド アラームが生成されている場合、そのポート モデルを保守モードにすることができます。ポート モデルを保守モードにすると、レッド アラームはブラウン アラームで置き換えられます。ただし、ブラウン アラームの影響重要度および影響度範囲は、レッド アラームと同じです(すでに保守ポートによる影響がなくなっている場合を除く)。その後、ポートを保守モードから復帰させると、レッド アラームが再表示されます。このシナリオでは、レッド アラームの影響度範囲と影響重要性が失われる可能性があります。