ランドスケープ間の障害相関関係の設定

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casp1032jp
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SpectroSERVER
(DSS)環境では、リモート ランドスケープの障害分離の対象にローカル ランドスケープのルータとの接続を加えるために、ネットワーク管理者がリモート ランドスケープでローカル ランドスケープのルータをモデリングする必要がある場合があります。この
プロキシ
モデルは、それが「普通に」モデリングされているローカル ランドスケープですでにアラーム生成対象になっているので、リモート ランドスケープではアラーム生成対象にする必要はありません。ルータのアラームの追跡およびトラブル チケットの作成は、ローカル ランドスケープで行われます。
このようなシナリオでは、ランドスケープ間障害相関関係を解析することによって、同じ障害で複数のレッド アラームが生成されるのを防ぐことができます。プロキシ モデルの[障害管理]サブビューで[Enable Event Creation]属性に「FALSE」が設定されている場合、
CA Spectrum
はそのモデル(およびボードやポートなどの任意のコンポーネント モデル)でのイベント作成を一時中断します。この設定によって、そのモデルのアラームは実質的に無効になりますが、保守モードの場合と異なり、プロキシ モデルとの SNMP 通信は続行され、引き続き障害分離の対象になります。
注:
 分散ネットワーク管理の詳細については、「」セクションを参照してください。
プロキシ モデルとしてのモデルの設定
選択したデバイス モデルの[情報]タブで、デバイス モデルをプロキシ モデルとして指定できます。デバイス モデルをプロキシ モデルとして設定すると、そのモデルでのイベント作成が無効になります。
注:
グローバル コレクション トポロジに複数のプロキシ モデルが存在する場合、それらを単一アイコンに集約し、すべての接続を結合できます。
以下の手順に従います。
  1. プロキシ モデルとして指定するデバイス モデルを選択します。
  2. [情報]タブをクリックし、[
    CA Spectrum
    モデリング情報]サブビューを展開します。
  3. [プロキシ モデル]設定を特定し、[設定]をクリックして「はい」を選択します。
    このモデルの場合、イベント作成は無効です。これで、モデルはプロキシ モデルとして機能します。
ランドスケープ間の障害相関関係の例
以下の図は、複数のランドスケープが存在するネットワークの例です。
spec--crosslandscape_proxy_example_SCR
以下の図に示すように、ランドスケープ A (ローカル ランドスケープ)にはルータ R を含むコア ルータが含まれています。ランドスケープ B (リモート ランドスケープ)には、カスタム ルータおよびプロキシとして二度目にモデリングされたコア ルータ R が含まれています。このプロキシ モデルは、IsEventCreationEnabled 属性に「いいえ」が設定されています。デバイスはポーリングされていますが、イベントやアラームは生成されていません。
ランドスケープ A と B のルータ R:
spec--crosslandscape_proxy_OTH
ルータ R がダウンすると、以下の図に示すように、ランドスケープ B とプロキシ ルータおよびカスタマ ルータとの接続が切断されます。ただし、ランドスケープ A では 1 つのレッド アラームのみが生成されます。ランドスケープ B のプロキシ ルータはグリーンのままです。ここでは、プロキシ モデルの IsEventCreationEnabled 属性が「No」に設定されているためアラームは抑制されます。
ランドスケープ間の障害相関関係を解析した場合のアラーム:
spec--crosslandscape_proxy_fault_OTH
ポート ステータス監視の設定
CA Spectrum
で提供されているポート ステータス監視方法を以下に示します。
  • リンク トラップ
    リンク トラップを使用すると、ポーリングのコストをかけずにポート ステータスを監視できます。ただし、トラップは、必ずしもポート ステータスを通知する最も信頼性が高いメカニズムというわけではありません。
  • PollPortStatus
    PollPortStatus 機能を使用すると、
    CA Spectrum
    で接続がモデリングされていなくても、ポート ステータスをポーリングできます。
  • ライブ パイプ
    ライブ パイプを使用すると、個々のリンクのポート ステータス監視を有効にできます。
    CA Spectrum
    は定期的にリンクのステータスをポーリングするので、ライブ パイプはトラップよりも信頼できる(パフォーマンスに対するコストは増える)監視方法です。また、ライブ パイプを使用すると、監視中のリンクを視覚的に確認できます。
  • WA_Link ポート監視
    WA_Link モデルは、接続されているポートのライブ パイプを自動的に有効にします。
  • NetworkLinkType
    CA Spectrum
    は、接続されている 2 つのデバイスのモデル クラスに基づいて、ポート レベルの属性 NetworkLinkType の値を自動的に更新します。この属性を使用すると、ポートが使用されているリンクのタイプに基づいて、管理ポリシーを設定できます。
    注:
     NetworkLinkType 属性および管理ポリシーの詳細については、「」セクションを参照してください。
    NetworkLinkType の取りうる値を以下に示します。
    • 0 = リンクなし
    • 1 = ルータ リンク
    • 2 = スイッチ リンク
    • 3 = 共有アクセス リンク
    • 4 = エンド ステーション リンク
    • 5 = ワイド エリア リンク
    • 6 = 内部リンク
    • 7 = 不明なリンク
    • 8 = ネットワーク クラウド リンク
    ポートの接続がモデリングされていない場合、NetworkLinkType に 0 (不明なリンク)が設定されます。ポートの接続がモデリングされている場合、NetworkLinkType の値は以下の表の説明に従って管理されます。
接続
属性値
リンク タイプ
ルータ > ルータ
1
ルータ
ルータ > スイッチ ルータ
1
ルータ
ルータ > スイッチ
1
ルータ
ルータ > ハブ
1
ルータ
ルータ > ワークステーション サーバ
1
ルータ
スイッチ ルータ > スイッチ ルータ
2
スイッチ
スイッチ ルータ > スイッチ
2
スイッチ
スイッチ ルータ > ハブ
3
共有アクセス
スイッチ ルータ > ワークステーション サーバ
4
エンド ステーション
スイッチ > スイッチ
2
スイッチ
スイッチ > ハブ
3
共有アクセス
スイッチ > ワークステーション サーバ
4
エンド ステーション
ハブ > ハブ
3
共有アクセス
ハブ > ワークステーション サーバ
4
エンド ステーション
WA_Link モデルに接続されているポート
5
ワイド エリア
ハードウェア デバイス内で接続されているバックプレーン
6
内部リンク
EVPN ディスカバリが実行され、Provider_Clouds が作成される
8
ネットワーク クラウド リンク
 
ポート ステータス ポーリング条件
一般に、ポート ステータスのポーリングは、以下の条件が満たされる場合に行われます。
  • ポート モデルの PollingStatus (0x1154f)が TRUE であること
  • ポート モデルの Polling_Interval (0x10071)が 0 以外であること
  • ポートのデバイス モデルの PollingStatus が TRUE であること
  • ポート モデルまたはポートのデバイス モデルが両方とも保守モードではなく、両方の isManaged (0x1295d)属性が TRUE であること
上記の条件が満たされている場合、Polling_Interval に設定されている頻度でポート ポーリングが行われます。
ただし、以下の 2 つの条件のどちらかが成立する場合、デフォルトのポーリング頻度は無効になります。
  • CA Spectrum
    でモデリングされて以来ポートがダウンしており、ポート常時ダウンの場合のアラームを抑制属性に有効が設定されている場合
    注:
    ポート常時ダウンの場合のアラームを抑制属性に無効が設定されている場合は、ポートは上記の説明に従ってポーリングされます。
  • ポートが管理目的でダウンしている(すなわち ifAdminStatus 属性にダウンが設定されている)場合
上記の条件が満たされている場合、ポーリング頻度は 1 時間に 1 回(3600 秒に 1 回)に減らされます。さらに、ダウン ポートのレッド アラームがすべて抑制され、グレー アラームが生成されます。管理目的でダウンしているポートはブラウンのままです。
ポート ステータスのイベントとアラーム
ポート ステータス監視エンジンは、以下の表のイベントとアラームを使用して、ユーザにステータスの変化を通知します。
イベントの説明
イベント ID
アラームの説明
アラーム ID
ポートの状態色
ポート ステータス良好
0x10d10
N/A
N/A
ポート ステータス不良
0x10d11
無効なリンク
0x1040a
ポート ステータス無効
0x10d12
リンク無効
0x1040b
ブラウン
ポート ステータス不明
0x10d13
リンク ステータス不明
0x1040e
グレー
ポート ステータス到達不可
0x10d14
到達不可リンク
0x1040c
グレー
ポート ステータス初期
0x10d15
N/A
N/A
ブルー
ポートの下位レイヤがダウン
0x10d16
無効なリンク、ただしアラームは抑制されている
0x1040f
グレー
ポートは稼働中、ただしダウン ポートにリンクされている
0x10d17
リンクは稼働していない可能性がある
0x10410
グレー
ポートがダウン ポートまたはダウン デバイスに接続されている
0x10d18
ポートのアラームは抑制されている
0x10411
グレー
ポート ステータスは不良、ただしLinkFaultDisposition に LinkOnly が設定されている WA_Link に接続されている
0x10d2d
ポートのアラームは抑制されている
0x10d2d
グレー
 
リンク トラップ
トラップは、ネットワーク デバイスが、ネットワークに重要なイベントが発生したことを管理システムに知らせる手段として使用できます。リンク ダウン トラップとリンク アップ トラップは、ポート ステータスを監視する際に最も重要なトラップです。これらのトラップは、ポートが動作不能になったこと、あるいは稼働状態に戻ったことを、管理システムに通知します。
CA Spectrum
は、リンク ダウン トラップを受信すると、対応するポートのステータスを 1 回ポーリングしてそのステータスを確認し、そのポートで「ポート ステータスのイベントとアラーム」に説明されているイベントとアラームのいずれかを生成します。
CA Spectrum
はデバイス モデルでイエロー アラームを生成するため、ベンダー固有のトラップ データに簡単にアクセスできます。ただし、その後は、影響を受けるポート モデルでトラップ固有のイベントやアラームが生成されることはありません。
CA Spectrum
がリンク ダウン トラップを受信した場合、ポートの OutstandingLinkDownTrap 属性に TRUE が設定されます。その場合、
CA Spectrum
 は、ポート ステータス ポーリング条件に関係なくポート ステータスのポーリングを行います。
CA Spectrum
がポートのリンク アップ トラップを受信した場合、またはポーリングによってポート ステータスが稼働状態であると判断された場合、OutstandingLinkDownTrap 属性の値に FALSE が設定され、その後はポート ステータス ポーリング条件の値に基づいてポーリングが行われます。ポートのポーリングが行われる条件の詳細については、「ポート ステータス ポーリング条件」を参照してください。
CA Spectrum
がリンク ダウン トラップを受信したすべてのポートが稼働状態に戻った場合、デバイスのイエロー アラームがクリアされます。
CA Spectrum
によるリンク トラップの処理方法は、以下の属性で制御できます。
  • AlarmOnLinkDownIfTypes
    この属性では、ifType 値に対して、その ifType とモデル タイプで発生したトラップの処理方法を指定する値(0 は処理しない、1 は常に処理する、2 は管理者に確認)がマッピングされています。この値は、モデル タイプごとに MTE でカスタマイズできます。ポート モデルが作成されると、その ifType に対応する値が AlarmOnLinkDownTrap (0x11fc2)属性に自動的に設定されます。
    ID:
    0x1290f
  • AlarmOnLinkDownTrap
    この属性は、リンク ダウン トラップ イベントを受信した場合のアラーム生成動作を指定します。取りうる値を以下に示します。
    • [なし](0): リンク ダウン トラップを受信してもアラームを生成しません。
    • [ステータス確認](1): 現在の[管理ステータス]に基づいてアラームを生成します(UP の場合はレッド アラーム、それ以外の場合はブラウン アラームを生成)。
    ID:
    0x11fc2
  • AssertLinkDownAlarm
    デバイス モデルでイエロー アラームを生成する必要があるかどうかの判断に使用される属性です。
    CA Spectrum
    がトラップを受信したポート モデルから読み取られます。この属性は、ポート モデルの[属性]タブで表示できます。
    ID:
    0x12957
インターフェース トラップ設定
さまざまなデバイス モデルで、個々のポート モデルで受信したリンク ダウン トラップの処理を、ポート モデルの[情報]タブのコンポーネント詳細画面の[属性]タブで設定できます。このタブでは、選択したポート モデルまたはその親デバイス モデルのリンク ダウン アラームを抑制できる属性にアクセスできます。このようなトラップ設定がサポートされているかどうかを調べるには、
CA Spectrum
管理モジュール ガイドの興味のあるデバイス タイプに関する説明を参照してください。
ロケータ検索を使用して複数のポート モデルを選択し、[属性エディタ]ダイアログ ボックスで一括更新することもできます。
PollPortStatus 機能
PollPortStatus 機能を使用すると、ポートの接続がモデリングされていなくても、ポート ステータスを監視できます。PollPortStatus 属性はデバイス モデルとポート モデルの両方に存在しますが、それぞれのモデル タイプで属性 ID は異なっています。したがって、デバイス レベルとポート レベルのそれぞれで、ポート ステータス ポーリングを有効または無効にできます。PollPortStatus には、デフォルトでは、デバイス レベルで「はい」、ポート レベルで「いいえ」が設定されています。
ネットワーク トラフィックを減らすために、同一デバイスの複数のポーリング対象ポートに対する SNMP 読み取り要求は、大きめの SNMP 要求にまとめて送信されます。この方法によるパフォーマンス向上は、単一
SpectroSERVER
で多数のポートをポーリングする際に最も顕著に表れます。
PollPortStatus を利用した接続ポートのステータスのウォッチ
デバイス レベルの PollPortStatus 属性(0x12809)は、デバイス単位でポート ステータス ポーリングを制御します。「はい」が設定されている場合、デバイスのポーリングは有効です。「いいえ」が設定されている場合、ポート モデルの PollPortStatus 属性に「はい」が設定されていても、ポートはポーリングされません。値が「いいえ」に変わるとき、ライブ パイプを構成していないポートのアラームはクリアされます。
ポート レベルの PollPortStatus 属性(0x1280a)は、ポート モデルごとのポーリングを制御します。この属性に「はい」が設定されている(かつデバイスの PollPortStatus も「はい」に設定されている)場合、ポートのステータスがポーリングされ、必要に応じてアラームが生成されます。値が「いいえ」に変わるとき、ポートのアラームはクリアされます。以下の表は、ポート モデルとそのデバイス モデルの両方の PollPortStatus が「はい」の場合にのみ、ポート ステータスがポーリングされることを示しています。
デバイス モデルの PollPortStatus の値
ポート モデルの PollPortStatus の値
結果
FALSE
FALSE
デバイスのどのポートのステータスもポーリングされない
はい
FALSE
デバイスのこのポートのステータスはポーリングされない
FALSE
はい
デバイスのこのポートのステータスはポーリングされない
はい
はい
デバイスのこのポートのステータスはポーリングされる
CA Spectrum
は、ポーリング間隔を監視して、ポート ステータスをポーリングするタイミングを決定します。ポートをポーリングすると、そのステータスが決定され、必要に応じて適切なアラーム(レッド、ブラウン、またはグレー)が生成されます。
「無効なリンク」アラーム(アラーム コード 0x1040a)が生成されているポートで、その後 PollPortStatus が「いいえ」に変更され、さらにライブ パイプが無効にされてそのポートのポーリングが無効になった場合、「無効なリンク」アラームを自動的にクリアするイベントが生成されます。
ライブ パイプが有効なときに、PollPortStatus 属性に「はい」を設定できます。これによって、冗長なネットワーク トラフィックが生成されなくなります。
ポート ステータスのポーリングの有効化
Model Type Editor (MTE)を使用すると、特定のタイプで今後作成されるすべてのモデルでポート ステータスのポーリングを有効にできます。また、コマンド ライン インターフェース(CLI)を使用すると、現在存在するモデルごとにポート ステータスのポーリングを有効にできます。たとえば、MTE でデバイス モデル タイプとポート モデル タイプの両方の PollPortStatus に「はい」を設定します。この後、ポーリングされたときに、インターフェース モデルで必要に応じて適切なアラームが生成されます。PollPortStatus は、グローバル属性エディタでもデバイス レベルとポート レベルの両方で設定できます。
注:
CLI を使用して単一モデルの PollPortStatus を有効または無効にする手順については、「
コマンド ライン インターフェース」を参照してください。