障害分離
内容
casp1032jp
内容
障害管理は、ネットワーク管理の重要な要件の 1 つです。障害は、エラーとは異なり、管理者が注意を払い、修理する必要がある異常な状態です。障害を引き起こす問題は、ファームウェア、ハードウェア、またはネットワークの不良が原因で発生する可能性があります。それぞれの問題について、ネットワーク マネージャは固有の対応をする必要があります。したがって、障害が発生している正確な場所を特定し、できる限り短時間でネットワーク管理者の注意を喚起することが目標になります。
CA Spectrum
インテリジェンスは、ネットワークの問題を切り分けて、障害が発生している可能性が最も高いコンポーネントを分離できます。障害分離を高速化し、不要なトラフィックを減らすために、以下の 2 つのアクションが実行されます。- Are-You-Down アクションモデルは、表現対象のデバイスとの接続が切断されると、自身の状態を決定するために、そのすべてのネイバーに Are-You-Down アクションを送信します。すべてのネイバーから応答として TRUE を受信した場合、モデルの状態色はグレーになります(「表現対象のデバイスがダウンしている可能性はあるが、ネイバーがすべてダウンしているので確定することはできない」ことを示す)。しかし、いずれかのネイバーから応答として FALSE を受信した場合、モデルの状態色はレッドになります(「ネイバーの 1 つが稼働中なので、表現対象のデバイスは確実にダウンしている」ことを示す)。
- Are-You-Up アクションモデルは、表現対象のデバイスとの接続が再確立すると、速やかに障害分離できるように、ネイバーに Are-You-Up アクションを送信します。このアクションを受信した各ネイバーは、接続ステータスが確立である場合、TRUE を返します。モデルの接続ステータスが切断であり、次回ポーリングが 60 秒を超えている場合、すみやかに障害分離できるように、モデルがデバイスに PING を送信します。
モデルのステータスが変化するか、または
CA Spectrum
が認識する情報が変化するたびに、改めて評価が行われます。CA Spectrum
インテリジェンスによって、トポロジ表現はできる限り最新かつ正確な状態に維持されますが、正確に接続ステータスを評価し、ネットワーク上のデバイスの異常を判断するには、正しいモデリングが必要です。正しいモデリングには、VNM モデルを、ネットワークを表現しているほかのモデルに対して正しく関係付ける作業が含まれます。VNM モデルは、そのホストが接続されているデバイスを表現しているモデルのトポロジ ビューで、接続が解決済みである必要があります。VNM モデルが正しく接続されている場合、CA Spectrum
とモデルとの接続が切断されると、そのモデルを表現するアイコンの状態色がグレー、オレンジ、またはレッドに変化するので、ネットワーク管理者はすみやかに障害を特定できます。改善された Fanout パフォーマンス
Spectrum 10.3.1 では、「Are_You_Down」アクションを Fanout の SNMP 対応ネイバーにのみ伝達することで、Fanout のパフォーマンスが改善されました。FanOut パフォーマンスの拡張を有効化するには、$Specroot\SS\.vnmrc ファイルでパラメータ属性「improve_fanout_performance」を True に設定し。SpectroSERVER を再起動します。 デフォルトで、このパラメータは False に設定されています。すべての非 SNMP 重要デバイス モデルがダウンし、任意の SNMP 対応デバイスが稼働している場合、Fanout 状態は赤になり、非 SNMP デバイス モデルは抑制されます(図 1 参照)。非 SNMP 非重要モデル デバイスを重要モデル デバイスに変更するには、「モデル カテゴリが接続ステータスに与える影響」を参照してください。
図 1

注:
非 SNMP 重要デバイス モデルが保守モードである場合、このモデルはダウンしているとみなされます(図 1.1 参照)。図 1.1
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モデル カテゴリが接続ステータスに与える影響
障害にはそれぞれ特定の状態が割り当てられ、障害が発生したモデルを表現するアイコンが特定の色で表示されることによって、その状態が表現されます。状態色には、モデルの接続ステータスとアラーム ステータスの両方が反映されます。ただし、モデルに割り当てられる接続ステータスと状態色は、モデルが以下のどのカテゴリに属しているかによっても異なります。モデルとそのネイバーが属するカテゴリによって、接続ステータスと状態色が受ける影響について、以下に示します。
- 重要デバイス モデルネットワークを円滑に運用するために管理者が注意を払う必要があるデバイスは、重要デバイスと呼ばれます。非重要モデルを重要モデルに変更するには、Value_When_Red 属性(0x1000e)の値を 7 に変更します。
- 非重要デバイス モデルエンド ユーザ PC などの非重要デバイスは、接続ステータスはブルーとグリーンを交互に繰り返し、管理者の注意を引くためのアラーム メッセージやイベント メッセージは生成されません。重要モデルを非重要モデルに変更するには、Value_When_Red 属性(0x1000e)の値を 0 に変更します。
- 推定コネクタこれらのダム モデルはポーリングはしませんが、データ リレー ネイバーのリストの追跡は行います。推定コネクタの例として、WA_Segment、Fanout などがあります。CA Spectrumは、WA_Segment に接続されているすべてのポートのライブ パイプを自動的に有効にします。注:CA Spectrumインテリジェンスは、Fanout モデル同士が接続されることを想定していないので、そのように設定した場合は接続ステータスが正確に表示されません。2 つの Fanout 同士が接続され、各 Fanout が緑の接続ステータスのデバイスに接続されている場合、Fanout はレッドになります。2 つの Fanout が相互に接続され、どちらの Fanout にもほかのデバイスが接続されていない場合、両方の Fanout はグレーになります。
- 共有メディア リンク共有メディアリンクは特殊な推定コネクタです。これらのモデルは Fanout に似ていますが、障害管理の動作は異なります。共有メディア リンクは Fanout モデルとは異なり、モデル条件は設定されたしきい値に基づきます。例:重大しきい値が 80 に設定される場合、共有メディアリンクがダウンストリーム モデルの 80 パーセントとの接続を失う場合、共有メディアリンクはレッドになります。
- 複合トポロジ モデルと離散トポロジ モデルLAN、LAN 802.3、LAN 802.5 などのモデルの接続ステータスは、収集対象の子の接続ステータスによって決まります。接続ステータスが切断の LAN モデルは、収集対象モデルの状態に応じてレッドまたはグレーになります。
- ワイド エリア リンクワイド エリア リンク(WA_Links)は、ワイド エリア セグメント(WA_Segment)モデルと共にモデリングされます。これによって、ワイド エリア リンク状態が正しくロールアップされるようになります。WA_Link モデルは、T1 や T3 のラインなどのポイントツーポイント接続のみを表現し、このラインには一度にデバイスを 2 つしか接続できません。また、WA_Segment モデルは、デバイス モデルの正しいポートに接続する必要があります。注:WA_Link モデルが対応できる WA_Segment モデルは 1 つのみです。WA_Link モデルのトポロジ ビューに複数の WA_Segment モデルを貼り付けようとすると、2 番目のモデルは即座に破棄され、アラームが生成されます。
- ワイド エリア セグメントWA_Segment は、Connects_To で関連付けされている各インターフェース モデルの InternalPortLinkStatus (IPLS)属性をポーリングします。これは、単なる属性の変化のウォッチではなく、実際にポーリング間隔ごとに接続されたインターフェースの IPLS を読み取るポーリングを意味します。したがって、CA Spectrumが、接続されているいずれかのルータとの接続を切断しなくても、WA_Link で障害分離アラームが生成されます。接続されたポートの IPLS のポーリングは、WA_Link モデルの Polling_Interval 属性と PollingStatus 属性で制御されます。Polling_Interval が 0 になるか、または PollingStatus が FALSE になると、接続されたポートの IPLS のポーリングは停止します。接続されたインターフェースのいずれかの IPLS が「不良」(たとえば管理ステータスがオンで稼働ステータスがオフ)の場合、WA_Segment の Contact_Status に切断が設定され、WA_Segment はグレーになります。WA_Link はレッドになります。いずれかの接続されたインターフェースの IPLS が無効(たとえば管理ステータスがオフ)の場合、WA_Segment の Contact_Status に切断が設定され、WA_Segment はグレーになります。WA_Link はオレンジになります。なぜなら、[アラーム]タブに表示されるアラームは重要度が一定以上である必要がありますが、この場合は「接続切断」アラームだからです。無効なインターフェースが原因でCA Spectrumとリモート ルータとの接続が切断された場合は、WA_Link はレッドになります。これは、通常の InferConnector タイプの障害分離の動作です。
モデル カテゴリ | 接続されているモデル(ネイバー) | 状態色 |
重要デバイス(ハブ タイプのみモデリング) | VNM に接続されている場合 | 接続が切断されるとレッドに変化 |
重要デバイス | ほかのモデルは接続されていない(接続数 0)場合 | |
重要デバイス | 確立されたデータ リレー ネイバーに接続されている場合 | |
複合トポロジと離散トポロジ | 収集対象のすべての子の接続ステータスが切断で、その中の少なくとも 1 つの子がレッド状態の場合 | |
推定コネクタ | FanOut モデルの接続は切断されているが、そのネイバーの状態は良好で、関連付けられているポートのリンク ステータスが不良の場合 | |
重要デバイス、推定コネクタ、WA_Link | すべてのネイバーの接続ステータスも切断の場合 | 接続が切断されるとグレーに変化 |
複合トポロジと離散トポロジ | 収集対象の子がどれもレッド状態ではない場合 | |
重要デバイス(ハブ タイプのみモデリング) | 接続ステータスが確立のエンドポイント ネイバー(PC など)に接続されている場合 | 接続が切断されるとオレンジに変化 |
WA_Link | WA_Segment (または FanOut)の状態が良好で、いずれかのルータとの接続が切断されている場合 | |
重要デバイス | 接続ステータスが確立のモデルに接続されている場合 | グリーンに変化 |
複合/離散トポロジと WA_Link | 収集対象のすべての子の接続ステータスが確立の場合 | |
推定コネクタ | 接続ステータスが確立のモデルに接続され、少なくとも 1 つのネイバーが 良好 状態であり、そのポート(FanOut に接続されているポート)のステータスが良好 の場合 | |
重要デバイスと非重要デバイス | ほかのデバイスにまだ接続されていない場合 | ブルーに変化 |
複合/離散トポロジと WA_Link | LAN のすべての収集対象の子の接続ステータスが初期であり、LAN の接続ステータスも初期の場合 |
障害分離の例
さまざまなネットワーク設定と問題のシナリオにおける
CA Spectrum
の障害分離の動作例を以下に示します。例: 予防的な障害分離
この例は、障害分離は予防的なメカニズムであり、接続されているすべてのモデルにポーリングする必要はないことを示しています。
以下の図に示すような単純なネットワーク トポロジを考えます。デバイス H1 は VNM モデルに接続されています。デバイス H1、H2、H3 は 3 分おきにポーリングします。H4 は 5 分おきにポーリングします。PC は 30 分おきにポーリングします。

H2 が不良状態であるとします。その結果、H2 はレッド、H4 はグレー、PC (非重要モデル)はブルーにそれぞれ変化しますが、H1 と H3 はグリーンのままです。
H2、H4、または PC のポーリング時に障害分離が開始されます。H4 が切断状態の場合、H2 に Are-You-Down アクションを送信します。H2 がすでに切断状態の場合、H2 は H4 に TRUE を送信します。まだ切断状態ではない場合、自身を PING して応答を H4 に送信します。これによって、H4 はグレーに変化します。
H2 が切断状態の場合、H1 に Are-You-Down アクションを送信します。H1 は確立状態なので、H2 はオレンジ状態とレッド状態のどちらかに決定する必要があります。H2 は PC を PING します。PC は応答できないので、H2 はレッドに変化します。H2 からの PING によって PC は切断状態になります。PC は非重要デバイスなので、ブルーに変化します。
例: FanOut のモデリング
この例は、FanOut がモデリングされている場合の障害分離を示します。
FanOut がレッド、D2、D3、PC がグレーであるとします。以下の図にこのシナリオを示します。

FanOut は D1 の接続ステータスにウォッチを登録します。D1 がダウンすると、ウォッチのトリガによって、FanOut はグレーに変化します。
しばらくして D3 のポーリングが成功すると、D3 の接続ステータスは「確立」になり、グリーンに変化します。D3 は次に FanOut に Are-You-Up アクションを送信します。FanOut はデバイス P3 (D3 の FanOut に対するポート接続)の内部リンク ポート ステータスを読み取ります。ポートが良好状態だとすると、ウォッチがクリアされ、FanOut の接続ステータスは「確立」になり、グリーンに変化します。これは、P1 (D1 の FanOut に対するポート接続)の内部リンク ポート ステータスが良好である限り、推定コネクタの接続ステータスは良好のままであることを意味します。
D2 が不良の場合、D2 の接続ステータスは切断になり、FanOut に Are-You-Down アクションを送信します。FanOut は D1 を PING し、D1 が良好状態であることを認識します。インテリジェンスによって、次に P1 のステータスが調査されます。P1 のリンク ステータスが良好だとすると、FanOut はモデル D2 に FALSE を返します。これによって、D2 はレッドに変化します。
P1 が不良の場合は、FanOut に対するネットワーク接続が切断された場合と同じです。D3 が最初にポーリングした場合、D3 の接続ステータスは「切断」になり、FanOut に Are-You-Down アクションを送信します。FanOut は D1 を PING し、D1 が良好状態のネイバーであることを認識します。FanOut は次にポート P1 の内部ポート リンク ステータスを読み取ります。P1 は不良状態なので、FanOut は接続ステータスが「切断」になり、レッドに変化します。FanOut は TRUE をモデル D3 に返します。これによって、D3 はグレーに変化します。D2 も D3 と同じ理由でグレーに変化します。PC は非重要デバイスなので、接続ステータスが切断になると同時にブルーに変化します。
例: 冗長パスの障害分離
この例は、リンクが管理目的でシャットダウンされている(管理ステータスが「ダウン」)場合、
CA Spectrum
が冗長パスを使用してデバイスを管理する方法を示します。以下の図は、冗長 WA リンクを使用したネットワークです。VNM は、WL-1 リンク経由で Rtr3 を、WL-2 リンク経由で Rtr2 を管理します。ネットワーク管理者が WL-1 リンクをシャットダウンするとします。これによって、WL-1 はグレーに変化します。VNM が WL-1 経由で Rtr3 と通信できないので、Rtr3 はレッドに変化します。VNM が WL-2 リンクと WL-3 リンクを使用して Rtr3 と通信できるように、Rtr3 の冗長インテリジェンスによってエージェント アドレスが変更されます。これによって、Rtr3 はグリーンに戻ります。WL-1 はグレー状態のままです。

例: 推定コネクタの障害分離
この例は、推定コネクタの障害分離には、固有のモデリングが必要であることを示します。WA_Link の両端に Rtr1 と Rtr2 の 2 つのルーティング デバイスが接続され、それぞれのポートが P1 と P2 であるとします。
WA_Link モデルは、WA_Link の状態を正しくロールアップできるように、Collects 関係によって WA_Segment (または FanOut)モデルと関連付ける必要があります。WA_Link の両端のデバイスは、WA_Link モデルの収集対象である WA_Segment に接続する必要があります。それには、デバイスのデバイス トポロジ ビューに移動し、WA_Segment のページ外参照アイコンを該当するポートで解決します。この接続は、WA_Segment のビューに移動すると表示できます。
このクロス接続は、以下の図に示すように、障害分離が機能するために重要です。

P1 が Rtr1 のポート、P2 が Rtr2 のポートであるとします。WA_Segment に接続されているルータによって、WA_Link は以下の表に示すように状態が変化します。ポート リンク ステータスが WA_Link のステータスの重要な決定要因になるのは、両方のルータの接続が確立している場合のみであることに注意してください。
Rtr1 | Rtr2 | WA_Link |
初期 | 初期 | ブルー |
確立 | 切断 | 赤 |
切断 | 切断 | グレー |
確立 | 確立 | ポートの状態をチェック* |
* Rtr1 と Rtr2 の両方の接続ステータスが
確立
の場合、P1 と P2 のポート ステータスによって WA_Link の状態が決まります。ポートのどちらか一方でも不良な場合、WA_Link はレッドになります。ポートのどちらか一方でも無効な場合、WA_Link はオレンジになります。それ以外の場合、WA_Link はグリーンになります。