状態とロールアップ状態
内容
casp1032jp
内容
CA Spectrum
には、ネットワーク デバイスとそのパフォーマンスの変化を、それらを表現するアイコンによって簡単に知ることができるインテリジェンス回路が用意されています。アイコンの色によって、状態とロールアップ状態の 2 つの異なるステータスを表現します。状態には、アイコンによって表現されているモデリングされたデバイスの接続ステータスとアラーム ステータスが反映されます。ロールアップ状態は、アイコンによって表現されているモデルの「子」モデルの複合
ステータスです (子モデルは、トポロジ階層では「Collects」関係によって、場所階層では「Contains」関係によって、それぞれ親モデルに関連付けられています)。ロールアップ状態は、一般には階層の上位に移動するにつれて変化します。これは、各レベルのロールアップ状態に大量の個別モデルのロールアップ状態が反映されるからです。アイコンのタイプによって、状態とロールアップ状態の色を示す部位が異なります。デバイス アイコンとトポロジ(LAN)アイコンの場合、状態はアイコンの診断用ダブルクリック ゾーンに、ロールアップ状態はアイコンの下向き三角形のダブルクリック ゾーンに、それぞれ表示されます。場所モデル アイコンの底部にある円には、状態またはロールアップ状態のどちらか重要度の高い状態が表示されます。
状態とロールアップ状態を決定する属性
状態とロールアップ状態には、固有の属性セットが関連付けられています。その値によってモデルの状態とロールアップ状態が決定されます。
- 条件状態属性の値には、接続ステータスのほか、デバイス モデルで実際に発生している詳細なアラームが反映されます。この値によって、以下の表に示すように、トポロジ アイコンと場所アイコンの状態色が決まります。
接続ステータス | 条件 | 色 | Description |
初期 | 初期 | ブルー | モデルが、表現対象のデバイスとの接続をまだ確立していないか、または接続が切断された非重要デバイスを表現しています。 |
確立 | 正常 | 緑 | モデルが表現対象のデバイスとの接続を正常に確立し、デバイスが正常に動作しています。 |
確立 | マイナー | 黄色 | 最低限の動作の最初のレベル。モデルは表現対象のデバイスとの接続を正常に確立していますがネットワーク全体の動作には影響しないレベルの異常状態が発生している(おそらくはデバイスがモジュールが取り外されている)か、別のモデルに割り当て済みの IP アドレスがこのモデルに割り当てられています。 |
切断 | メジャー | オレンジ | 最低限の動作の 2 番目のレベル。デバイスの管理エージェントに異常が発生し、 CA Spectrum からの通信には一切応答しませんが、デバイスは下流のネイバーへのデータ リレーを続けています。この状態は、ハブなどのデータ リレー タイプのデバイスでのみ発生し、ファームウェア障害の典型的な例です。 |
切断 | 重大 | 赤 | この状態は、デバイス全体に障害が発生していることを示し、管理者が注意を払って修理または交換する必要があります。 |
切断 | 抑制(不明) | グレー | このデバイスとの接続 および このデバイスの上流にある(たとえばこのデバイスと CA Spectrum の間にある)デバイスとの接続が切断され、その結果デバイスの実際の状態は不明であり、デバイスを表現しているモデルのアラームが抑制されています。このデバイスの下流にあるモデルもすべて状態色がグレーで表示されます。上流か下流かに関係なく、隣接する(直接接続されている)モデルはすべて接続ステータスが「切断」になります。 |
切断 | 保守 | ブラウン | モデルが保守モードなので、 CA Spectrum がデバイスに接続できません。 |
- Condition_Valueモデルの全体的な状態を表現する数値を示します。この値は親モデルに渡され、複合状態の計算に使用されます。状態またはロールアップ状態のどちらか重要度の高い状態が、モデルの全体的な状態になります。注:モデルの全体的な状態は、対応する重要度レベル(管理者により定義済み)を介して間接的に状態値に設定されます。
- Composite_Condition場所モデルに含まれるモデルまたはトポロジ モデルによって収集されたモデルのすべての状態値の合計です。
- ロールアップ状態CA Spectrumは、管理者によって定義済みのロールアップしきい値と複合状態を使用して、ロールアップ状態属性値を算出します。算出された属性値によって、場所モデルに含まれるモデルまたはトポロジ モデルによって収集されたモデルの全体的な状態を表す表示色が決まります。表示色は以下のいずれかの色です。
- 緑このモデルの子の複合状態値は、イエロー(ロールアップ状態)のしきい値未満です。
- 黄色このモデルの子の複合状態値は、イエローのしきい値以上ですが、オレンジのしきい値未満です。
- オレンジこのモデルの子の複合状態値は、オレンジのしきい値以上ですが、レッドのしきい値未満です。
- 赤このモデルの子の複合状態値は、レッドのしきい値以上です。
状態とロールアップ状態の感度
以下の 2 つの属性は、特定のモデルの状態値に基づいてロールアップ状態の影響度を強調または抑制するために使用できるパラメータになります。これらの属性を調整することによって、ロールアップ状態色が変化するタイミングを制御できます。
- ロールアップしきい値ロールアップしきい値には、モデルのロールアップ状態色(イエロー、オレンジ、およびレッド)を制御する 3 つの属性があります。ロールアップしきい値は、モデルごとに管理者が定義します。モデルの子から受け取る複合状態値とこれらの属性との比較に基づいて、ロールアップ状態色が決まります。たとえば、モデルの複合状態値がそのオレンジのしきい値以上(ただしレッドのしきい値未満)の場合、モデルのロールアップ状態色はオレンジになります。ロールアップしきい値のデフォルト値を以下に示します。
- イエローのしきい値 = 3
- オレンジのしきい値 = 6
- レッドのしきい値 = 10
- 重要度レベル重要度レベル属性は、イエロー、オレンジ、およびレッドの状態およびロールアップ状態の数値を定義します。ロールアップしきい値と同じように、重要度レベル値はモデルごとに管理者が定義します。重要度レベル フィールドのラベルは「の場合の値」で終わります。重要度レベル値のデフォルト値を以下に示します。
- Value_When_Yellow = 1
- Value_When_Orange = 3
- Value_When_Red = 7
ロールアップ状態フロー
以下の図は、ロールアップ状態プロセスの概要を示します。フローは下から上に向かって読みますが、これはロールアップ状態が継承される 1 つの経路にのみ注目した図であることと、実際には複数の子の状態値が親モデルに渡される可能性があることに注意してください。

ロールアップ状態の継承の例
以下の図は、トポロジ階層のロールアップ状態の継承を示します。

この例には、トポロジ階層の 2 つのレイヤが示されています。前提として、ロールアップしきい値と重要度レベルはデフォルト値が使用されています。図の一番下のレベルには、ハブが 2 つ、ルータが 1 つ、エンドポイント デバイスが 2 つで、合計 5 つのデバイスがあります。これらのデバイスは TWLAN に含まれています。TWLAN は、ほかの 2 つの LAN の FINANCE と ENGRG と同様、802_3_LAN タイプの LAN です。これら 3 つの LAN モデルは、OVERALL_NET という名前のネットワーク グループ モデルの収集対象です。
以下に示す下位のロールアップ状態と状態によって、ネットワーク グループ モデル OVERALL_NET の最上位のロールアップ状態が決まります。
TWLAN による収集対象デバイス
ハブ #1
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = レッド
状態値 = 7
ハブ #2
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = オレンジ
状態値 = 3
ルータ #1
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = イエロー
状態値 = 1
エンドポイント デバイス PC#1 & PC#2
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = グリーン
状態値 = 0
FINANCE (LAN)
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = グリーン
状態値 = 0
ENGRG (LAN)
状態 = グリーン
ロールアップ状態 = イエロー
状態値 = 1
ロールアップ状態プロセスの例
トポロジ ビュー内のすべてのモデルは、それぞれの Collects 関係を収集元モデルから受け取ります。したがって、すべてのモデルがネットワーク グループ モデルのロールアップ状態に寄与します。以下の手順は、前出の図例の OVERALL_NET という名前のモデルのロールアップ状態に寄与する状態値の詳細フローを示します。
- TWLAN ネットワーク グループ モデルの複合状態を決定します。複合状態は、収集対象モデルの状態値の合計です。この例の各デバイスの状態値を以下に示します。「オレンジ」状態のハブ モデルの状態値は 3 です。「レッド」状態のハブ モデルの状態値は 7 です。「グリーン」状態の PC#1 モデルの状態値は 0 です。「イエロー」状態のルータ モデルの状態値は 1 です。「グリーン」状態の PC#2 モデルの状態値は 0 です。したがって、OVERALL_NET モデルの複合状態は以下のように算出されます。複合状態 = (3 + 7 + 0 + 1 + 0) = 11
- TWLAN のロールアップ状態を決定します。この例では、以下のようになります。複合値 = 11TWLAN のイエローのしきい値 = 3TWLAN のオレンジのしきい値 = 6TWLAN のレッドのしきい値 = 10複合値 > レッドのしきい値結果:TWLAN のロールアップ状態 = レッド
- TWLAN の状態とロールアップ状態に重要度レベルを割り当てます。この例の重要度レベルを以下に示します。イエローの場合の値 = 1オレンジの場合の値 = 3レッドの場合の値 = 7結果:ロールアップ状態 = レッド状態 = 7
- TWLAN モデルの状態値を設定します。この例では、以下のようになります。ロールアップ状態は状態より重要度が高い結果:状態値 = ロールアップ状態重要度レベル = 73 つのネットワーク モデル、TWLAN、ENGRG、および FINANCE はその状態値をネットワーク グループ モデル OVERALL_NET に渡します。下位のデバイス モデルの状態またはロールアップ状態が変化することによって、トポロジ階層の上位にあるトポロジ モデルが変化する可能性があります。3 つのネットワークのロールアップ状態から、以下の OVERALL_NET のロールアップ状態が生成されます。
- OVERALL_NET ネットワーク グループ モデルの複合状態を決定します。複合状態は、収集対象モデルの状態値の合計です。この例の各ネットワーク モデルの状態値を以下に示します。「レッド」状態の TWLAN モデルの状態値は 7 です。「グリーン」状態の FINANCE モデルの状態値は 0 です。「イエロー」状態の ENGRG モデルの状態値は 1 です。したがって、OVERALL_NET モデルの複合状態は以下のように算出されます。複合状態 = (7 + 0 + 1) = 8
- OVERALL_NET のロールアップ状態を決定します。この例では、以下のようになります。複合値 = 8イエローのしきい値 = 3オレンジのしきい値 = 6レッドのしきい値 = 10オレンジのしきい値 < 複合値 < レッドのしきい値結果:OVERALL_NET のロールアップ状態 = オレンジ